【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
マンションへと戻り、早速花守りを玄関ホールの壁に吊るしてもらうことにした。
花守りを何に引っ掛けようか考えていたところに、イグニスの鞄から壁に跡の残らないフックまで出てきたのはさすがとしか言いようがなかった。
「すごい、これ一つで壁面が華やぐね。
イグニス、今日はお弁当や花守りの予約まで色々準備してくれて本当にありがとう」
「オレの方こそグレイスからの花守りを受け取れてとても満足している」
私から贈った花守りをイグニスが自分の顔の前へと持ち上げると、ふっくらとした厚みのある下唇が隠されて、まるで花束にキスをするような光景に目が奪われた。
なんて美しい人。
やがて視線を私へ戻し、甘く微笑みながら言葉を続けた。
「気付いていたか? オレ達が付き合って一ヶ月になったこと。
これは切り花と違って長く楽しめるから記念にもちょうど良いと思ってな」
「えっ、あ、そ、そっか、もう? やっと? 一ヶ月なんだ…。
ずっと昔からイグニスのことは大好きだったから…何だかちょっと不思議な感じ」
「グレイス…」
本当のことだけど少し照れくさい気持ちをぽつりと呟いた後ちらりとイグニスの顔を見れば、すごくすごく嬉しそうに頬を弛緩させた彼と目があった。
そして、その感情を声からも感じられる程に優しく私の名前を呼び、抱きしめてくれた。