【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
「付き合うのはもちろん構わないけどこの後何かあるの?」と不思議そうに聞いてくるグレイスに歩きながら返事を返していく。
「グレイスは、『邪気払い』というのを聞いたことはあるか?」
「うーんと…それって節目の年にする『お祓い』のこと?」
「グレイスが想像しているのは厄年などに行うものだろうか。
それとはまた少し違うものだな。
新しい年が明けてちょうど半年経つこの時期、梅雨から夏にかけては湿度も気温も急に上がって色々なものが痛んだり、季節の変わり目で体調を崩したりすることが多い季節だろう?
だからこの時期に半年分の心身の穢れを払い清める為に行うのが『邪気払い』だ。」
「そっか、言われてみればちょうど1年の折り返し地点だ。
確かにこれから体力使う季節になるしね、なるほど。そんな習慣があるなんて知らなかったなぁ」
「近年ではあまり見られなくなった風習で城でも行っていないからな。グレイスが知らないのも無理はない。
だが、少しでもグレイスに暑い夏も、この先の半年も元気に健やかに過ごしてほしくてな。それでここへ連れてきたんだ」
そう言ってオレは休憩所も兼ねている建物1階のテラス部分にある受付に予約している旨を伝え簡単な説明と花切り鋏を受け取った。
まだ状況を理解しきれていないグレイスの手を取り、ロープで仕切られた中に色とりどりの紫陽花が咲いている場所へと連れてきて説明を続けた。
「その邪気払いをする為に、これから一緒に『花守り』を作ってもらおうと思ってな。
紫陽花には多くの花がついているだろう? そのことから多くの目で魔除け・厄除けになったり、災いを退け幸福をもたらす、と言われているんだ」
「わぁ、お花で出来たお守りなんてとっても素敵だね!
そっか、だからこの鋏を使ってこのロープ内に咲いている紫陽花から好きな花を選ぶってことね」
「そういうことだ。
あと、これはもし良ければなんだが…
オレはグレイスの花を、グレイスはオレの花を互いに選んで、最後に完成した花守りを交換しないか?」
「それ良いね、もちろん!
ふふ、どのお花にしようか迷っちゃうな」
オレの提案を聞いてぱぁっと顔を明るくさせたグレイスに自然と口元が緩む。
素直に喜んでくれて良かった。オレももっとグレイスを喜ばせたいから。