【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
イグニスの作ったおかずはもちろんどれも美味しくて、広々と視界の開けた心地の良い場所では食事も会話も自然とよく弾んだ。
それに、こんな風に外でリラックスして食べるお弁当なんて本当に久しぶり。ここに連れてきてくれたことも、お弁当を用意してくれたことも、イグニスに感謝しなくっちゃ。
おかずを食べ終えた頃、「デザートは入るか?」と聞いてくれた彼の手元には、ウサギ耳にカットされたりんごがあって、そんな細かいところまで拘ってくれたことに嬉しくなった。
時折り心地良い風が通る芝生の上で食休みをしながら他愛もない話をする。
「ねぇイグニス、紫陽花の花言葉って何か知ってる?」
「あぁ、それも調べた。
花の色が時期によって変化する事から一般的には『移り気』や『浮気』なんて言われているらしいな」
「うん、そうなの。何だかイメージと違って初めて聞いた時はびっくりしたんだよね。
雨の多い梅雨空の下でも力強く沢山の美しい花を咲かせる紫陽花には、もっと気高いイメージの言葉がついていても良さそうなのに」
「色が変化する様子を切り取って人の心に例えるという着眼点は面白いがネガティブな言葉ばかりではな。
色が移り変わることを、なかなか自分色に染めきれない女性の心に例えて『高嶺の花』という花言葉もあるそうだ。
あとは、小さな花が集まって咲いている様子から『家族団欒』とも表現するらしい」
「へぇ…! そんな花言葉もあるんだ、素敵だね」
「あぁ、それに紫陽花は色によっても…
おっと、もうこんな時間か。
話の途中ですまない、もう少しだけオレに付き合ってもらっても良いだろうか」