【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
「調べた」って正直に言ってくれるのも、私の為に調べてくれたのも嬉しいなと感じながら、ゆっくりイグニスと二人歩いていくと、木々に囲まれたハイキングコースから一転、大きく視界が開けた所に出た。
ハイキングコースの緩やかな傾斜に導かれて知らず知らずのうちにかなりの高さの坂を登っていたようで、
そこから下を見ると満開の紫陽花が視界いっぱいの斜面を埋め尽くしている驚きの景色が広がっていた。
しかも、所々花の色が異なる寒色系の青や紫、暖色のピンクと様々な色が不規則に入り混じりながらも不思議と調和がとれているその光景は、自然が織り成す美しい魔法を見せられているような錯覚さえ感じた。
「わ、わ…すご…ぃ…。
え、これってさっきのイグニスの話からすると、全部土のpH値が違ってこうなってるってこと? こんなに密集してるのに?」
「これは、まさに圧巻だな。
色は…そういう理由のはずだが、実に不思議だ。品種のせいもあるかもしれないが、隣同士の花でも色が随分違っている所もあるな」
二人して自然の雄大さと神秘に魅了され、しばし目が釘付けになって、自分の口からほぼ無意識にぽつりと言葉がこぼれた。
「イグニス、こんなに素敵な場所に連れてきてくれてありがとう…」
それを聞いたイグニスがこちらを見て微笑んだのが何となく気配でわかった。ちゃんと聞こえてたんだ、良かった。
「いいや、グレイスが隣にいてくれるからこそオレも来ることが出来た。オレの方こそありがとう。
これから先も、二人で色んな景色を見たり、思い出を作ろう。約束だ」
「…うん! もちろん!」