【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
「気持ちはわかるがグレイス、何も心配するは必要ないと思うぞ」
「え~…でも…」
「大丈夫だ。匂いで大体わかる、これは絶対に美味い」
「えー? ふふ、それ本当?」
「本当だとも」
「だとしたら、イグニスもはやシェフだね。側付きだけじゃなくて王子専属シェフにもなる?」
「ふ、グレイスとノクト二人の専属になれるなら、それも悪くないな」
ノクトだけでは毎日野菜を食べさせるのに苦労しそうだ、なんて冗談を言い合いながら二人向き合ってダイニングテーブルに腰を下ろす。
早速グレイスが作ってくれたパエリヤを食べようとするも、何やら視線が気になってふと顔を上げれば、じっとオレの顔を見つめているグレイスと目が合った。
「グレイス、そんなに見つめられると少々食べにくいな」
「あっ!? ご、ごめんなさい、イグニスのお口に合うかどうか気になっちゃって、つい…」
「はは、気にし過ぎだ。大丈夫だと言っただろう?
いただくよ。…ん、これは…見た目だけじゃなく、魚介の出汁がよく効いていて味も抜群じゃないか」
「本当イグニス!? よ、良かった~…」
オレの味の感想を聞いた瞬間、身を乗り出してキラキラした表情を見せたかと思えば、次の瞬間ダイニングチェアにもたれ掛かるように脱力するグレイスのリアクションが微笑ましくて ふ、と笑みが零れる。
同時に、それだけ一生懸命作ってくれた気持ちが伝わってきて嬉しくもなる。
「本当だ。生臭さもないし、一人でこれを作れるなんて大したものだ。
グレイスも温かいうちに食べてみろ、ほら」
そう言って、一口分スプーンですくってグレイスの前へと差し出してやる。
今しがた、料理の成功を確認して喜びと安堵で頭がいっぱいだったのか、グレイスはオレの行動にあっけにとられたようなぽかんとした顔をして目をぱちくりさせていた。
「オレからは食べてくれないのか? ほら、あーん」
「や、あの、そういうわけじゃ…い、イタダキマス…」