【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
「グレイス…もっとこっちへ来てくれ」
何度か頬や唇にキスを落とした後、イグニスに脚をぐい、と抱えられて横抱きで彼の膝の上でお姫様だっこのような姿勢になった。
私ももっと近付きたくて両腕をイグニスの首に回せば、それに応えるように抱えていた脚から腕を抜き、その逞しい二本の腕で、しっかりと私の上半身を支えてより密着出来るように抱き寄せてくれた。
…幸せ。
立った姿勢でハグをするより多くの箇所が触れ合えて、イグニスの温もりを感じられて、幸せ。
「この間と同じ、だな」
「…ん?」
イグニスの温かさと清潔感の漂う香りを目を閉じて胸一杯に享受しているところにポツリと言葉が落とされた。
この状態を変えたくなくて、そのままの状態で「何が?」というニュアンスを込めて聞き返す。
「会ってすぐにハグやキスをしているところが、前回のデートの時と同じだな」
「あっ」
言われてみれば。
私がお城にいた頃に読むのを許可された数少ない少女漫画では、恋人となった二人は手を繋ぐのさえも真っ赤になって緊張して、それさえなかなか上手くいかなくて変な誤解を生んだり…そんな内容だった。
私たちの展開が早すぎる?
でも仮に恋人の一つ前の段階が友達とするなら、そうと呼ぶには長すぎる期間私達は一緒にいるし、
距離感だって過去に一度イグニスの想いを聞くまではずっとずーっと近かった。
お互いの気持ちに反して無理矢理空けていた距離はもういらない。
これまでの穴を埋めるように恋人としての時間や距離感を強く感じたい二人の気持ちがこうさせているのかも。