【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
「久しぶりだな、こうやって近くで触れ合えるのは」
後ろからイグニスの長い腕がぎゅうと私の身体を抱え込んで、耳の後ろや首筋辺りを彼の形の良い鼻が掠めていく。
その感触は、くすぐったさと心地良さが同居したような、不思議な感覚だ。
『久しぶり』 だなんて、先週もデートしたばかりなのに…と一瞬頭に浮かんだけれど、
背中全体に感じるイグニスの体温の心地良さと、ぽかぽかとココロが満たされていく体感に、ずっと私もこうしたかったんだと気付かされ、
自然とイグニスの手に自分の手を重ねながら「うん。久しぶり、だね」と同じ言葉を返していた。
学生が住むにはおよそ不釣り合いな高級マンションらしく防音もしっかりとした二人の存在だけが感じられる空間で、イグニスと静かに身を寄せ合う。
「…ずっと…こうしたかった。
他の誰でもない、イグニスと」
「………グレイス。
オレもだ。お前の代わりなど、どこにもいない」
ふと溢れた『ずっと』という言葉は、この一週間だけのことではなくて。
幼い頃にすれ違って、二人して別の未来を必死に追いかけて…無意識のうちに目を背けていた可能性を手繰り寄せられた今のこの幸せから溢れた言葉だった。
イグニスの返答から、その真意が伝わったのだと理解したグレイスはそっと後ろを振り返り、間近で微笑むイグニスの瞳を捉えてから瞼を閉じた。
そこへ、言葉を伴わない柔らかく温かい返事が返ってきたのはすぐのことだった。