【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
懐かしい思い出と、思春期の女性らしく美しく成長した目の前のグレイス両方をじっくりと堪能した後、酸素不足になりかけているグレイスの唇を開放する。
すると、グレイスの目線がスッと一段下がるのが見え、オレとキスをする為に精一杯背伸びをしてくれていたのだとわかった。
オレも屈んでいたつもりだったがまだ足りなかったか。
気付けなくて申し訳なかったが、そんなところもいじらしい。
「グレイス、今日はありがとう。
グレイスの気持ちも、体温も、全てが身近に感じられて、すごく幸せな時間だった。
それに、グレイスからのハンカチや、ペアグラス…今日という特別な日を思い出せる品も出来たし、最高の初デートだ」
「ありがとう、私も同じ気持ちだよ。
それに、イグニスにプレゼントしてもらったサングラスも大事な記念の一つだよ? これ着けて、二人でたっくさん色んなところ行こうね、約束!」
「あぁ、もちろんだ。
それを楽しみに…今日のところはそろそろ帰るとするよ」
心底嬉しそうに目をキラキラさせながらデートの感想を話す愛しいグレイスの頭を撫でながら、名残惜しくも帰りの言葉を口にすると、表情が一変して寂しげなものになってしまった。
「えっ…もう帰っちゃうの…?
せっかく二人のグラス買ったんだし、お茶でも飲んでいかない…?」
………。
そんな、捨てられた子猫の鳴き声のような悲し気な調子で言われると、もう少しくらい…と揺らぎそうになるが…しかし…
「オレもそうしたいのは山々だが、明日は家庭教師の時間もあるが、その後は鍛錬の予定も入っているだろう? 今日一日出歩いて疲れただろうし、今夜は早く休んでくれ。
大丈夫だ。二人で一緒にグラスを使う機会はこれから先、いくらでもオレが作る」