【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
西へ陽が傾きかけた夕暮れのインソムニアを車で走り、
グレイスのマンションの駐車場に着いてから、足早に部屋へと進む。
焦り過ぎて、今日買ったグラスや皿を危うくトランク忘れそうになった。
玄関ドアの入ってすぐに靴箱の上に荷物を置いて、オレはグレイスを思い切り抱きしめた。
今朝感じたのと同じ温もり、匂い、抱き心地。
これまでとは違い、素直に抱きしめ返してくれるグレイスの腕や手のひらから伝わる気持ち。
どれも最高だ。
やや上がった心拍数を整える為にグレイスの匂いを吸い込みながら深呼吸をする。
それからグレイスの顎先に指をかけ口づけをすると、これまでそこになかったものがぶつかって カチリ、と音を立てた。
オレの眼鏡と今しがた買ったサングラスが当たる音だった。
二人の間ならに距離を作るそれをすぐさま外して、もう一度、今度は互いの唇の形や大きさを確かめるように角度を変えて何度もキスをした。
「グレイス…好きだ。ちゅ…ん、ちゅぅ…」
「ん…私も、ちゅ…好き…」
オレに唇を休みなく塞がれているのにも関わらず、その合間を縫って懸命に言葉でも気持ちを伝えようとしてくれるグレイスから深い愛情を感じるのと同時に、ふと子供時代のことが脳裏に浮かんだ。
思い起こせばグレイスは昔から素直に言葉に出して愛情を伝えてくれる子だった。
少し前までは、曖昧な二人の関係性から奥歯に物の挟まったような言い方ばかりさせてしまっていたが、根本は変わっていないようで安心した。昔から好ましく感じていたグレイスの良いところが変わっていなくて嬉しく思う。