【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
う…た、確かに言った。言ったけど…
「でも、私が贈ったハンカチとはお値段も違いすぎるし…
何よりイグニスが頑張ってお仕事して手にしたお金は、ちゃんとイグニスの為に使ってほしいよ」
「ふ、それなら尚更遠慮はいらない。
あまり外でする話ではないが…給料に関しては警護隊からもそれなりに貰ってはいるが、オレの場合ノクトの側付の手当てを十分過ぎる程貰っているんだ。
それに、押し付けがましく彼氏の甲斐性と言うつもりもない。
自分の為に使えと言うなら、このサングラスを見てグレイスがオレを思い出すきっかけにさせたいというオレの気持ちを満たす為に、これを贈らせてほしい」
隣同士に座っている分、いつもより身長差を感じさせない至近距離から見つめられ、私の手の甲に重ねたイグニスの指先が、私の指の間を撫で上げるように、そっと動く。経験したことのない触れられ方に、なぜだか背中がぞくりと粟立った。
「だから、受け取ってくれ。グレイス」
そこには、一見すると穏やかな翠の瞳…のその奥に、独占欲を滲ませた、初めて見る表情のイグニスがいた。
言葉に出さずとも、「グレイスの特別でありたい」と語る眼差しに包まれて…『愛されている』という充足感が強く胸に広がり、私は黙って頷いて返事をした。
「ありがとう、グレイス」
そう言って満足気に微笑むイグニスを『「ありがとう」、だなんて…お礼を言うのは私の方なのに…』と惚けた気持ちで見つめていると
「お待たせいたしました」と店員さんの戻ってきた声で我に返った。
「こちらはこのまますぐに掛けて行かれますか?」
「えぇ、そうしてください」
イグニスは慣れた感じで店員さんとやりとりしてお会計を済ませ、サングラスは私に、ケースの入った紙袋はイグニスが持って、二人でお店を後にした。