【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
美味しいケーキと一緒に、食後のカフェとお喋りを楽しんで、少しお腹もこなれてきた頃席を立ちお会計へ。
店員さんに「お会計はご一緒でよろしいですか?」と聞かれてすぐにイグニスが「はい」と答えてしまって、慌てて後ろから「待ってイグニス、私も…」と声を掛けるも「いや、良いんだ。今日はオレが誘ったんだし、気にするな」と止められてしまった。
私の使うお金の出所を考えると、「私が払うよ!」と言うのもすごくおこがましいのだけれど、だからと言ってイグニスにばかりお会計をさせるのもやっぱり違うと思う。
お店を出てから
「イグニス、さっきのお買い物だけじゃなくご馳走にまでなったら悪いよ」
バッグからお財布を取り出しながらそう声を掛けるも、その手をやんわりとバッグへと押し戻され、そのまま指を絡めてあっという間に恋人繋ぎの形にされてしまった。
「あ…あれ?」
「グレイス、いいんだ。
レジの前で誰が払うかとか、店を出てからわざわざもう一度財布を開いて金のやりとりをするより、オレはこうやって少しでも早くグレイスと手を繋げることの方がずっと大事なんだ。
だから本当に気にしないでくれ。」
多幸感を滲ませるように目尻を柔く細め、繋ぎ合った手の存在を確かめるように きゅっ、きゅ と握りしめながらそんなことを言われたら、もうさすがにこれ以上は何も言えなかった。
それどころかイグニスの笑顔にあてられ、言葉を考える余裕すらなくなって、
急激に熱くなったと感じる頬の色を隠す為に繋いだのと反対の手でマスクを目の下ギリギリまでずり上げて
「…わかった。ありがと」
と言うので精一杯だった。