【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
オーダーが決まると、イグニスが店員さんに二人分の内容を伝えてくれる。
「食後、こちらの女性には紅茶を」
と言い方もさり気なく格好良い…。
そして、食事が始まってからも当然の如くテーブルマナーも完璧だった。
整った姿勢で不必要な音を立てずカットした料理を流れるような所作で口へと運ぶ様は、子どもの頃から事細かにマナー教育をされてきた私が見ても見事だった。
いくらここまでのエスコートがバッチリでも、あまりに場にそぐわない食事作法をされては雰囲気も台無しだし、周囲からの視線が気になったり、不快に感じたかもしれない。
マナーは、共に過ごす相手の為の知識とも言われる理由が、今ならよくわかる。
きっと彼も幼少期から会食時などで咄嗟にノクトお兄ちゃんのフォローが出来るように徹底的に教え込まれてきたんだろうということは容易に想像出来た。
あまり畏まった場所で食事を一緒にしたことがなかったから気付かなかったけど、間違いなくこれもイグニスの魅力の一つだ。
「イグニスの食べ方、すごく綺麗だね」
「そうか? 別に普通だが」
「え〜?」
そんなことないと思うけど、と思わず笑みが溢れる。
相変わらず、何をやらせてもスタイリッシュな人なんだから。
そうして二人一緒に食事を楽しんでいると、お待ちかねのケーキが運ばれてきた。
瑞々しいツヤを放つフルーツがたっぷりと載せられたそれを半分程度食べ進めたところで「こっちも食べるだろう?」とイグニスが声を掛けてくれた。
差し出されたお皿を受け取る時、「本当はオレが食べさせてやりたいところだが、今は我慢するとしよう」と囁かれて耳が熱くなった…。