【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
「このレストランはゆっくりと食事を楽しむメニュー構成になってるんだね。
こういうお店も入ってたの知らなかったなぁ」
「そういえば、前にヴァニラと来た時はどの店で食事をしたんだ?」
「えーっと、お店というか、何ていうんだったかな…
あ、フードコート…だっけ? 沢山の席があって、その周りに飲食店がいくつか並んでて、セルフサービスの。
そこで食べたよ。
ヴァニラが『グレイスこういうところ来たことないでしょ!』って連れて行ってくれたんだ」
「ふ、そうだったのか。ヴァニラらしいな」
「ほんとだね。世間一般の普通を体験出来たのも、一緒に食事してるのに、全く違うご飯食べてるのも新鮮で面白かったんだ。
もちろん、今日イグニスが二人で落ち着いて食事が出来るお店を選んでくれたこともすっごく嬉しいよ、忙しいのに調べてくれて本当にありがとう」
「そうか。グレイスに喜んでもらえて何よりだ」
ふ、とどこかホッとしたように息を吐くイグニスを見て、きゅんとした。
巨大なショッピングモール内をスムーズに案内してくれる姿に、最初は「イグニスはよくここに来るのかな?」なんて思っていたけれど、日々ルシスの為、ノクトお兄ちゃんの為、そして私との未来の為に…多忙を極める彼がそんな余暇を持て余しているとはやっぱり考えられない。
きっと、私とのデートでまごついたり、必要以上にうろうろさせないで済むように時間を割いて丁寧に下調べしてくれたんだと思う。
私の好みを意識して選んでくれたこのお店を気に入ったのはもちろんのこと、イグニスが私を喜ばせるために色々調べたり考えてくれたその気持ちが何よりも嬉しい。
そんな温かな気持ちで満たされながらニコニコとメニューを眺める。
「デザートのケーキ、どれも美味そうだな。
グレイスはどれにするか決めたか?」
「う〜ん目移りしちゃって…マスカットにするかマンゴーにするか、悩んでる」
「それなら、グレイスとオレでそのケーキを一つずつ頼もう。それを半分ずつシェアしたら良い」
「え、良いの? イグニスにも食べたいケーキあったんじゃないの?」
「あぁ、オレはグレイスが笑顔になってくれるケーキが一番食べたい」
笑顔でさらりとそんなことを言われて。イグニスの優しさと格好良さに今度は顔が熱を持った…。
うぅ…好き。