【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
私のそんな動揺は他所に、イグニスはグラスと同じシリーズの深い青に星のキラキラが映えるお皿を見つけ「こちらも綺麗だから一緒に買っていこう」と手に取り、ささっとお会計まで済ませてしまった。
「さて…目当ての物も買えたし、混む前に昼食にするか。
グレイスが好きそうなメニューがあるレストランを調べておいたんだが、もし良かったらそこへ行かないか?」
「えっ、わざわざ調べてくれたの!?
嬉しい…そこが良いな」
二つ返事でイグニスの提案を快諾し案内についていくと、これまでの明るく賑やかなフロアとは少し雰囲気の違った所へと出た。
このフロアだけ照明も少し暗めで、大人っぽいような、ちょっと特別感がある場所だ。
迷う素振りを少しも見せず、いくつかある店舗の前を通り過ぎた後、イグニスが立ち止まる。
「ここだ。
この店は料理に力を入れているのはもちろんのこと、食後のデザートに季節のフルーツを使ったケーキが何種類か用意されているんだ。
旬のものを使ったスイーツ、好きだったろう?」
「わぁ…! 素敵なお店探してくれてありがとう、早速入ろう」
いつかの話を覚えていてくれたことも、その為にわざわざお店を事前に探しておいてくれたことも、どちらも嬉しくて自然と心がぽっと温かくなる。
笑顔で応え、イグニスに手を引かれ店内へと入った。
入口近くにあったショーケースには、初夏の到来を感じさせる色鮮やかなフルーツケーキがいくつも並んでいてそれを見るだけでテンションが上がる。
店員さんに案内された席は運良く奥まった場所で、他の人からは顔が見えにくそうだったので、マスクを外しての食事も安心して出来そう。
他のお客様も入ってはいるが、お店の落ち着いた雰囲気に合わせて皆抑えた声のトーンで会話をしており、BGMとして流れているクラシック音楽が耳に心地よく届く。
ピンと皺一つなく整えられたテーブルクロスが掛けられた席に座りメニューを開くと、こちらのお店のランチは前菜から始まり、スープ、メイン、デザート、食後のドリンクとコース仕立てになっているようだった。