【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第5章 衝撃
オレは、繋いだのと反対の手でグレイスの背中を優しく撫でながら話を聞いていた。
しばらくしてグレイスの嗚咽が治まった頃、そっとグレイスを抱き寄せ、ゆっくりと話し始めた。
「グレイス…そんな辛いことがあったのか…。
よく頑張って話してくれたね」
グレイスは弱々しく首を横に振り、「でも…」と続ける。
「それにしても…ノクトお兄ちゃんが学校に来ていない時で良かった…。こんなこと、絶対に聞かせたくなかったから」
声を震わせながらも、ノクトを心配するグレイスの言葉に胸がグッと詰まる。
「こんな時までノクトや僕の心配をしてくれて…ありがとう。
グレイスは本当に優しい子だね」
限られたルシス王家の人間だけが、自分自身の生命力と引き換えに魔法障壁を張り、国民の生活を、安全を、命を守ることが出来る。
そんな献身的で特別な力を持つグレイスが命の危険から守られることを心苦しく思うなんて。
優しすぎて、心配になる。いつか自分で自分を追いつめてしまわないだろうかと。
グレイスがもっと「特別扱いされて当然」というような傲慢な人間なら、万一内心では見切りをつけることもあったかもしれないが…
自分の欲や希望よりも、自身に尽くすのが役目の従者にまで心を砕くグレイスが尊く健気で仕方がない。
「グレイス、僕のことなら大丈夫。グレイスやノクトの力になりたくてここにいる。」
優しくも、しかししっかりと意志を込めた口調で、この想いを伝えたい。