【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
誰の目にも触れないとはいえ、玄関でお互いの匂いを覚える程にゼロ距離で触れ合ってようやく…イグニスと二人並んで駐車場へと向かう。
思いがけず、出かける前に随分時間がかかっちゃった。
でも、胸いっぱいに幸せを集めるような時を、初めてのデートの朝から過ごすことが出来て、すごく心満たされる時間だった。
「ねぇイグニス、お顔隠すマスク着けるから、助手席…イグニスのお隣座っても良い?」
「あぁ、もちろんだ。
オレもグレイスが隣にいてくれる方が嬉しい」
そう言って、二人笑って見つめ合う。
イグニスも同じ気持ちでいてくれて良かった。
これからはこんな風に、今まで自ら遠ざけていた幸せを取り戻していけたらいいな。
程なくして、車はインソムニアの中でも大規模と言えるショッピングモールへと到着した。
助手席側へ来たイグニスのエスコートでドアを開けてもらって差し出された手を取った後、
そのままするりと指を絡められて『恋人繋ぎ』の形に変えられる。
「あっ…。
…え、外で、コレ…いいの?」
繋がれて交互に重なった指先とイグニスの顔の間で視線を行ったり来たりさせながら尋ねると、ちょっとしたイタズラを計画した子どものような笑顔を浮かべて答えてくれた。
「ここでなら、手を繋いでデートしているカップルなんて珍しくも何ともないだろう。
それにグレイスもマスクをしてくれているしな。
オレはグレイスが嫌でなければこうして行きたいんだが…どうだろうか?」
「い、嫌なわけないよ…!
ありがとう…手、繋いでいこう」
返事の代わりに、私の目を見てしっかりと頷いたイグニスに手を引かれて店内へと進む。
いつも真面目なイグニスが、屁理屈…とまではいかないけど、理由をつけて恋人らしい触れ合いや振る舞いを提案してくれるのが嬉しくて、ぽっと頬が赤くなる。
昔…四年前くらいに一度王女として動画を配信したものの、それも随分前のことだし既に削除もしてある。
こうして手を繋いで歩けるのも、「まだ学生だから」とあまりメディアに露出しないように配慮してくれたお父さんのおかげ。感謝しなくっちゃ。