【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
何をそんなわかりきったことを、と言わんばかりに大きく目を見開くグレイスの表情がまたオレの心をくすぐる。
王女として公の場にいる時とはまるで違う、感情を豊かに見せてくれるグレイスが嬉しくてついついこうやって意地悪をしてしまいたくなる。
「仮にわかったとしても、贈り主からはっきりとその意図を伝えてもらえた方がより嬉しいというものじゃないか。
…グレイス王女、どうかこの私により一層の喜びを与えてはくださいませんか」
恭しく腰を曲げて右手を胸の前に当ててそう乞えば、グレイスが複雑そうな、困ったような表情で眉尻を下げた。
「ち、ちょっと…! そんな言い方しないで、普通に話してよ。
少なくとも二人きりでいる今は、王女と従者じゃなくて恋人同士…彼氏彼女の関係でしょ?
だ、だからもちろん…今回は、その…後者の意味に決まってるでしょ!」
「っ、すまない。
そうだな、グレイスの言う通り、やっとその境界線を越えたばかりなのにな。
…ちゅっ。ありがとう。グレイスの気持ち、素直に受け取るよ」
「ん…わかってくれたならそれで良いよ。
…あと、イグニスにあんな風に丁寧な言葉遣いと仕草をされると本物の王子様っぽくてドキドキしちゃって…心臓に悪いの…」
やや不機嫌そうに答えたグレイスの肩を抱き寄せて頬に『だいすきのちゅー』をすれば、「ドキドキする」なんて意外な返事が返ってきて少々虚をつかれる。
「ふっ…そうなのか?
確かに今は王女と従者の関係よりプライベートな時間ではあるが、グレイスはオレにとっての大切なお姫様だからな。そういう意味では特別扱いさせてほしい」
「あ…ありがとう…。
…イグニスも、私のかけがえのない王子様なんだからね?
もう二度とふさわしくないとか、力不足だ、なんて言わないでよ。…ちゅっ。
昔も今も、私にとっては『あなたしかいない』、だよ」
『だいすきのちゅー』を返してくれた後もオレに抱き寄せられた距離感のまま、頬を赤らめグレイスの想いを告げられて心が熱くなる。
幼い頃の悩みも、ほろ苦い思い出も、気持ちのすれ違いも…
全て乗り越えたからこその今なんだと改めて実感する。
報われて…本当に良かった。