第24章 カレシとカノジョ

グレイスに許可をもらい、目の前で紙袋の封を開けていく。
封をしているブランドマークが刻印されたシールもグレイスからの大切なプレゼントの一部だと思うと破いて開ける気にはならなくて丁寧に剥がそうとしている間に、グレイスがこのプレゼントについて説明をしてくれた。


「あの…これは余計な心配だとは思うけど…

ハンカチって、漢字だとハンドの「手」に布巾の「巾」で「手巾」と書いて「てぎれ」とも読めるから、手切れや縁を切ることを連想する人もいるらしくて…
そういう誤解を招かない為にも『これからもよろしく』って意味を込めたメッセージカードを添えると良いって聞いたことがあるんだ」

「あぁ…成る程。確かにオレも教養の一つとして教えられた記憶がある。
グレイスもさすがだな、贈り物の意味やマナーまでよく知っているな」

「一応王女だから…贈り物でお相手に失礼のないように、って私も昔聞かされたの。

あとは反対に、日常的に身につける物を贈ることから一種のマーキングのような…『自分のもの』って主張したり、『もっと親密な関係になりたい』って意味にもなるらしいの。

不思議だよね。同じものを贈るのに、全く違う意図を含むなんて」

「はは、そうだな。
ちなみに今回のこのハンカチは、どっちの意味なんだ？」

「えっ！？
そ、そんなの…聞かなくてもわかるでしょ…！」