【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
赤らめた顔を隠すようにオレの胸に顔を埋めるグレイス。
顔を隠しても、今はもう耳まで真っ赤になっているから隠しきれてないんだが…それを言うのは少々意地が悪いというものか。
オレに会う為に丁寧に整えてくれたのであろう髪を乱さないように優しく撫でながら抱きしめていると、
次第にグレイスの身体から強ばりがとれてきたのを腕の中で感じて嬉しくなる。
「グレイス、そろそろその可愛い顔を見せてくれないか?」
「そんなこと言われると恥ずかしい…」
ぐ、と額をオレに押し付けたまま呟くような声が聞こえてくる。
「そうなのか? オレにとってはそんな謙虚なところも可愛いがな。
…ほら、あまり長い間そうしているとせっかく綺麗にした髪型が崩れるぞ」
そこまで言うと、ようやく少しだけ顔を離してこちらを見上げてくれた。
やや不揃いに重なった前髪を手櫛で簡単に整えてやろうとすると、髪が目に入ることを避けてか反射的にグレイスは瞼を閉じた。
「あぁ、もう少しだけそのまま目を閉じていてくれ。
…ちゅっ」
「…!!???」
不意討ちでグレイスの唇にキスを落とせば、少しばかり赤みが引いていた顔が、ぶり返したようにまた勢いよく熱を集める。
「な、なん、で、今…!」
「ん? この間グレイスがおやすみのキスをくれたからな。今日はオレからおはようのキスをしたかったんだ」
一昨日、帰り際にオレの心を大きくざわめかせたキス(もちろんそれは嫌なものではないのだが)に対しての、ちょっとした意趣返しのつもりだ。