【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第23章 夢
「うん…」
瞼を下ろすと、これまでぎりぎり目の縁に堪えていた涙がぽろりと両目から溢れた。
これがどういう涙なのかイグニスは感じ取ってくれていたみたいで、心配したり、動揺したりする様子は感じられなかった。
それを指の腹で優しく拭ってくれた後、私の両肩にイグニスの手の温度と重みを感じた。
そしてその数秒後…
ささやかながら、でも確かに唇に、
しっとりとした同じ柔らかさのものが重なる感触がそこにあった。
明確に、また一つ、二人の関係性が変わった瞬間。
ただ周りに定められた王家とその従者でもなく、
仮初めの兄弟でもなく、
一方通行に想いを寄せあうだけの幼馴染でもない。
恋人として。二人を繋げる初めてのキス。
時間にして2、3秒くらいだろうか…そっとその存在が離れていくのを感じてゆっくりと目を開けると…
そこには、喜びだったり、安堵だったり、頬をふっくらと膨らませるくらいに幸せを映し出したような…、今までに見たことない程、ハッキリと感情を表に出した表情のイグニスがいた。
あの、いつも冷静沈着でポーカーフェイスのイグニスが。
お互いを一生愛し続けるという想いが重なり合い、
二人でその気持ちを確かめ、それを永遠のものにする誓いのキスが出来たこの上ない幸せ。
これまで感じたことのない感情をイグニスと共有して、その相手が他の誰でもないイグニスだったことが嬉しくて嬉しくて、私は自然と目元も口元も…全てが綻んでくしゃりとした笑顔になる。
私のその表情を見たイグニスも同じ笑顔になって二人微笑み見つめ合った後、
どちらからともなく再び抱き寄せ合い、星々が見守る空の下ゆっくりと、初めての口付けの余韻を味わった。