【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第23章 夢
「ふ…、全く。本当に可愛いな、グレイスは…。
どれだけオレの心を虜にすれば気が済むんだ」
肩に置かれていた手が背中へと回り、ぎゅっと抱きしめられる。
その温もりに包まれてしまえば、『そんなつもりじゃない』なんて照れ隠しを言う気も失せて、私も広くて大きなイグニスの背中に腕を伸ばす。
「それに、これからは疑似的なもので気を紛らわせなくても、直接こうやってグレイスの熱を感じたり、グレイスの瞳を見つめて想いを伝えられるんだな」
「…やっと、そうだね…」
一際ぎゅっと力強く抱きしめられた後イグニスが背中を起こし、顔が見える位置へと姿勢を直した。
「グレイス…レギス陛下にお許しもいただいた今、改めて伝えたいことがある。聞いてくれるか」
私の目を射抜くような力強い視線と、腰と背中に回されたイグニスの手の平の熱さから、普段とは一線を画す程の真剣さが伝わってきて、反射的に一呼吸置いてから返事をする。
「…うん。
もちろんだよ。なぁに?」
「ありがとう。
昨日も、そして先程レギス陛下の前でも言ったことだが、これからもオレは王女としてのグレイスが、オレと未来を歩むと決めたことを後悔させないよう一層の努力と研鑽をしていく。
それと同時に、一人の女性としてのグレイスを必ず幸せにする。
これまで沢山悩ませたり、寂しい思いをさせてしまった分以上の笑顔と、温かな日々をオレからグレイスに贈らせてくれ。
この先、この美しい瞳を濡らす涙は、幸せなものだけになるように。
一生、大切にする」
「………!!
い、ぐにす……」
二人の未来を約束してくれるイグニスの言葉に感極まって、胸が苦しくて言葉が出ない。
それでも、絶対にこの想いには自分の言葉で返事をしたくて、何とか言葉を紡ぎ出す。
「ぁ…あ、ありが、とう…。
わた、し、も…この先、どんなことがあっても、イグニスとの未来を諦めたりしない…
誰に何と言われようとも、イグニスの手を離さない…
私は、あなたが傍にいてくれれば王女としても何でも頑張れるし、何よりもそれだけで幸せだから…
だから、一生、私の傍に、いて…!」