【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第23章 夢
「ん?
同じって?」
『どういうこと?』という感情を込めた目でイグニスを見つめれば、腰を屈めたイグニスに真正面から瞳をじっと覗き込まれ、目をぱちくりさせてしまう。
「オレはなグレイス、ずっと昔からお前のこの瞳が…星空のようだと思っていたんだ。
静かな夜陰を表すような深い青と黒が混じったような色。
そこに水分を多く乗せて涙がちに潤んだ瞳は、僅かな光さえも映しこんでキラキラと輝いて…いつもオレはその美しさに見惚れていた」
少しも目を逸らすことなく伝えられるイグニスからの答えにドギマギしながらも、その澄んだ翠の瞳に宿る熱から目が離せない。大きく高鳴る心臓の鼓動を感じながら見つめ返す。
「ほ、ほしぞら…? イグニスがそんな風に思ってくれてたなんて、知らなかった…」
「ふ、言ってなかったからな。
だから…グレイスに会えない時は、こうやって星空を見上げてお前を重ねて、想いを馳せていたんだ。
グレイスがオレの瞳をカーバンクルの色に重ねていたのと同じ、というわけだ」
「えっ…え、…嬉しい…」
イグニスも一人で私を想う夜を過ごしていたと聞き、不意に胸の奥がキュンとする。
それと同時に、片や星空なんて素敵なものに例えてくれていたのに、片やぬいぐるみの色に例えていた自分の発想がとても幼稚で何だか気恥ずかしい気がしてきた…。
「あ、あの…私、抱きしめたり傍に置きやすいって理由でイグニスの瞳をカーバンクルに重ねていたけど、
その澄みきった綺麗な翠の瞳…ペリドットみたい、ともずっと思ってたよ…」
「ペリドットとは、宝石のか? その例えもとても上等で嬉しいが、『抱きしめたり傍に置きやすい』という理由で例えてくれていた、と聞けたことの方が正直嬉しいな」
「あっ! やっ…それは、その………うぅ、墓穴掘ったぁ…」
自分の胸の内を的確に突かれた恥ずかしさから堪えきれずに顔を隠すように下を向くと、頭上からくすくすと楽しそうな声が聞こえてくる。
あぁもう、余計な事言わなければ良かった…。