【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第23章 夢
イグニスの人差し指が指す方向に合わせて視線を上へと上げる。
「上?
…あっ、星! 星が見える…!」
するとそこには、いつもより輝きを増した星々が空に瞬いているのが見えた。
「そうだ。ここはインソムニアの中心地からはいくらか離れているし、この辺りには目立った灯りがないからな。
いつもよりは星空が見えるだろう?」
「うん…いつもと同じ空のはずなのに…
本当はこんなに沢山の星たちがいたんだね。
下を見ても、上を見ても、どちらも初めて見る景色ですごくロマンチック…こんなにステキな所に連れてきてくれてありがとう…」
場のそんな雰囲気に後押しされ、すり寄るようにイグニスの腰に自分の右腕を回してぴったりと寄り添うと、こちらを見て幸せそうに微笑むイグニスと一瞬目が合う。
どこからどう見ても恋人同士の距離感に心をときめかせながら、しばし二人で星空を眺める。
灯りがないことによって夜の暗闇が深まって見える。
その結果、星々の光がより際立って見えるような…空の彼方の広大さをいつも以上に感じさせる夜空がそこにあった。
「ここは標高が少し高いんだが…グレイス、寒くはないか?」
「うん。こうやってイグニスにくっついてるから平気だよ。
それにしても…イグニス、よくこんな場所知ってたね?」
「まぁな。元々は星がよく見える場所を探していて、偶然夜景も綺麗なこの場所を見つけたんだ。
星がよく見える場所を探した理由は二つあるんだが…
一つはノクトだな。
昔、ノクトが星に興味を持っていたのは覚えているか?」
「うん、もちろん。
色んな星に関する図鑑沢山読んでて、一時期はイグニスよりも詳しかった時もあったよね」
「そうだな。
ただ、どうしても城の周りは明るすぎて図鑑で見るような星空は望めなかったから…車の免許を取ったらインソムニアの中でも少しでも星が見える場所を探してやりたいと思っていたんだ。
ま、もっともオレが免許を取れる年の頃にはノクトの興味は違うものに移ってしまっていたようだがな」
「いやぁ…昔から主想いでいてくれるのに、なんだか申し訳ない…」
「気にするな。オレがやりたくてやったことだ。
それに、もう一つ理由があると言っただろう?
もう一つの理由はな、グレイス…お前と同じだ」