【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第23章 夢
舗装のされていない凹凸や傾斜の多い道ながらも、イグニスは慣れた様子で車を進めていく。
「グレイス、しばらく揺れが続いてすまないな。
車に酔ったり、気分は悪くなってないか?」
「ありがとう、それは大丈夫だけど…
ここってインソムニアの外周を囲む壁の近くだよね?
こんなところに何かあったっけ?」
「まぁ知る人ぞ知る、といったところだな。
よし、この辺りで良いか。車を降りるぞ。
グレイスはオレがそちらへ行くまで待っていてくれ。
…さ、足元が暗いからな、ゆっくりで良い。オレの手を取って、気を付けて降りてくれ」
「うん、ありがとう。
ここが、目的地…?」
イグニスに誘導されながら、そろりと足を地面に降ろす。
外は日も落ちてすっかり暗くなり、車外に出ると普段感じるよりも一段ひんやりとした空気が頬を撫でた。
「特に何も見当たらないけど………きゃっ!?」
これといった建物の灯りさえも見当たらない周囲をきょろきょろと見渡していると、急に視界を何かに遮られ思わず大きな声が出てしまった。
「はは、驚かせてすまない。
オレがグレイスを必ず安全に連れていくから、少しの間だけこうさせてくれ」
「び…っくりしたぁ…。あ…これ、イグニスの手…?」
自分の目を覆うように被さるものを手探りで触ると、骨張った指の感触が伝わってくる。
「あぁ、そうだ。
オレがしっかり支えているから、グレイスは真っ直ぐ前に足を出してくれ。
…そうだ、その調子だ」
「ひぇ…
これ、結構怖いよ…?」
左肩をガッチリと信頼出来る人の大きな手で包まれている安定感があるから、完全に視覚が遮断された状態でも辛うじて恐る恐る足を踏み出せるものの、
慣れない状況に、両手は意味もなく落ち着きなく空をかいてしまう。
私的には必死なんだけど…多分、傍から見たら結構間抜けな見た目なんだろうな。くすん。
「オレを信じて付いてきてくれてありがとう、あと少しだ。
…よく頑張ったな。もうここで止まって良いぞ」
車から十数歩くらい歩いただろうか。
もっとも、足元が全く見えない恐怖感から歩幅もかなり小さくなっていただろうから、大した距離は動いてないのだろうけれど。