【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第23章 夢
「お待たせイグニス!」
「はは、全然待ってないぞ。随分早かったな」
「だって、早く行きたくて!
ねぇねぇ、どこに連れて行ってくれるの?」
洗面所から飛び出すような勢いでグレイスが部屋へと戻って来た。
期待に胸を膨らませた表情で、これからのオレとの時間が楽しみだと全身で伝えてくれるところが可愛くて仕方ないな。
「それは行ってみてのお楽しみだ。
ただ、それなりに時間がかかる場所にはなる。手洗いは行かなくて良いか?」
「さっき、お父さんに会う前に緊張で何回も行ったばっかりだから平気。イグニスは? ここの使って良いよ?」
「ふっ、オレも同じことをしてたから大丈夫だ。
では駐車場に行こう」
「うん!」
グレイスの部屋のドアを開けてやり、二人並んで…今度は落ち着いた足取りで城内を歩く。
さすがに城の中で手を繋ぐわけにはいかないか…と少々惜しい気持ちで横を歩くグレイスを見れば、オレと反対側の肩に教科書類が詰まってずっしりと重そうな通学鞄が掛かっているのに気付く。
「グレイス、随分と重そうな鞄だな。
オレが持つからこっちへ寄こしてくれ」
「えっ? 良いよぉ、これ結構な重さあるからイグニスに持たせたら悪い」
「だったら尚更だ。ほら」
グレイスの後ろに回って、少々強引に鞄の持ち手に指を引っ掛け、肩から荷物を引き離す。
人を仕えさせる王女という立場であるのに、こうやって気遣う性格は昔から変わってなくて。
そんなところもグレイスの美徳としてとても好感が持てるのだが、だからといってそのまま『そうか』と言って流せるかどうかは全く別の話だ。
「あっ…ごめんね、ありがとう。
ん~~~すっごく身体軽くなった~」
事実、受け取った鞄はなかなかに重たく、身軽になったグレイスはぐるぐると肩を回して凝った状態を解している。
小さな頃から何でも頑張り過ぎるところがあるからな…これからはより一層気を付けてやらないと。