【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第23章 夢
--玉座の間を退出したグレイスとイグニス--
(やった…やった、やったぁ~~~~!!)
本当なら今すぐ叫びだしたい程の気持ちを何とか飲み込んで、玉座の間に向かった足取りとは比べ物にならないくらい軽い足取りでエレベーターホールへイグニスと歩を進める。
「お疲れ様っ」
語尾に音符かキラキラでも飛んでいそうな、誰が聞いても上機嫌だとわかる声で周囲の警護隊員に声を掛けた後、隣のイグニスの顔を見上げれば、いつもはポーカーフェイスというか公の場では基本真顔で通すことが多いイグニスの口元が堪えきれないというように綻んでいるのが見て取れて、同じ気持ちなんだと余計に嬉しくなる。
「ねぇねぇイグニス、この後ってすぐお仕事戻らないといけない?
私今から制服に着替えにお城の自分の部屋に寄るんだけど、少しの間だけでも一緒に来てくれない?」
「いや、今日はどんな展開になっても対応できるよう予め切り上げてきたからオレも予定は空いているぞ」
「ほんと!? さっすがイグニス!
じゃあ一緒に来て!」
どうしたって今、この気持ちを、他の誰でもないイグニスと共有し合いたかったからすっごく嬉しい!
到着したエレベーターに乗り込んでからは、少しでも早く自分の部屋でイグニスと二人きりになりたくて、降りる階のボタンを押した後は人の目がないのを良いことに『閉』のボタンを子どもみたいにビシバシ連打した。
後ろから、イグニスの吹き出すような笑い声がしたから、舌を出して「えへっ」っていたずらっ子みたいな顔して振り向いて、二人で一緒に声を出して笑い合った。
二人きりの空間といえども監視カメラあるからね…警備室の噂にならないように、もう少しだけ我慢我慢。
私の部屋のフロアに着いてからは、もう二人とも走った方が自然なんじゃないかってくらいの早歩きで進んで、その勢いのままイグニスが珍しく荒々しくドアを開けた隙間に滑り込んで…
「イグニス!」
「グレイス…!!」
ぎゅう…っという強く互いを抱きしめる音が身体を通じて聞こえあったところで、ようやくそこで私達二人の動きは止まることが出来た。