【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第23章 夢
--グレイスとイグニスが退出した玉座の間--
「レギス、頼まれていた資料を持って来たぞ。
ところで、今しがたエレベーターホール前でやけに嬉しそうな顔をしたグレイス王女とイグニスを見掛けたんだが、何かあったのか?」
「おぉクレイラス。良いところに来たな、聞いてくれ。
つい先刻、あの二人が結婚を前提とした交際への許可を取りにきたのだ」
「なんと! …ははぁ、やけにスキエンティアの顔色が青ざめいていると思ったらそういうことか」
「む、まだそんな顔をしておったのか。
若い二人が決意を固めて宣言しにきたんだ、お前も自分の甥をもっと信頼してやれ」
「え、えぇ…。レギス陛下がグレイス王女のお相手をイグニスで良いと仰ってくださることは、我が家にとって至上の幸福であり名誉なのですが、いささかこの老いぼれの心臓には刺激が強うございました…」
「ははは、今後の人生の楽しみが増えて良かったではないか。
…スキエンティア、クレイラス、覚えているか?
まだグレイスが3つかそこらの頃、毎日のように帰宅するイグニスを泣いて引き留めようとしていたことを」
「もちろんでございます。
あれは何度見ても微笑ましい光景でございました」
「オレも覚えているぞ。
確か『帰っちゃダメ』とか『グレイスとずっと一緒にいて』なんて言っていたな。
はは、もちろん抱いている好意の意味合いは違うのだろうが、イグニスはあの頃からグレイス王女の心を射止めていたという訳だ」
「ふっ…そうだな。
イグニスのことは子どもの頃からよく知っているし、真面目で優秀な彼になら安心してグレイスを任せられる。
良い報せのお陰で、この後の仕事も頑張れそうだ」
レギスは柔らかな笑みを溢しながら両手をあげて んっ、と伸びをする。
「それは良いことだ。まだまだこれからもその調子で頼むぞ」
その様子を見たクレイラスがレギスへそう語りかければ、初夏の明るい夕日が差す高天井の玉座の間に、気心の知れあった大人たちの笑い声が伸びやかに響いた。