【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第23章 夢
さっきからずっと青い顔して狼狽えているスキエンティアを見ていると、心底申し訳なくなってくる…。
まぁ…代々執事として仕える自分の家の人間が、その仕える先の王女と結婚したい』なんて言い出したら『自分の立場や身分をわかっているのか!』って気持ちにもなるよね。
「全く、王の執事ともあろう者が…しっかりせぬか。
グレイス王女、イグニス、先程私に言った選択や言葉は確かか? そう易々と取り下げることは叶わんぞ」
「はい、レギス陛下」
「もちろんです」
「うむ…そうか」
レギス陛下が蓄えた顎ヒゲをザリっと撫で、少々の沈黙が訪れた。
動きのなくなった空気がズシリと重くのし掛かって辛い。
でも沈黙は金なりと言う。耐えなくては。
「良いだろう。グレイス王女とイグニス、二人の結婚を前提にした関係を認めよう」
瞬間、イグニスも、私も表情がパァッと明るくなる。
「ありがとうございます…!」
「…本当ですか!?
ありがとうございます、レギス陛下…、
ありがとう…お父さん」
「あぁ。二人共、おめでとう。
…というのはさすがに少し早いか。
さすがにまだ公には出来ないから、人前での振る舞いには気を付けるんだぞ。
イグニス、息子だけでなく娘まで世話になってすまんな。
グレイス王女のことも、よろしく頼む」
「有り難きお言葉です…! 誠心誠意、お支え致します!」
「はは、ここだとどうも堅苦しくなってしまっていかんな。
今度また別で時間を取ろう」
先程から一転、空気が緩んだのを感じて、私も言葉を陛下ではなくお父さんに向けて話す。
「うん、わかった!
お父さん、今日は時間取ってくれてありがとう!
私達のこと、認めてくれて本当に本当にありがとう!!
スキエンティアも、12年前、イグニスをノクトお兄ちゃんのお側付きに推薦してくれてありがとう!!」
「イグニスとなら私も心配がないからな。
じゃあ二人とも今日のところはこれで帰りなさい」
「ふふ、そうだよね、イグニスだもんね。
お父さんもお仕事頑張ってね。
イグニス、行こう」
「はい。グレイス王女、ただ今。
レギス陛下、この度は本当にありがとうございます。
必ずや、グレイス王女を一生大切に致します。
それでは、本日はこれにて失礼致します」
「あぁ。気を付けてな」