【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第23章 夢
「レギス陛下にお会いするだけでも身が引き締まる想いがするものだが、今回はさらにそのご令嬢であるグレイスとの結婚を前提にした交際のお許しをいただきに来ているからな。
この状況で緊張しない男がいたら会ってみたいものだ」
「そ、そうだね…」
『結婚』という言葉に、この場に似つかわしくないだらしない笑みが出そうになる顔を両手で隠し、目を閉じて深呼吸する。
(しっかりしなきゃ…お父さんにちゃんと納得してもらえなかったら、いつまでもイグニスとの関係は進まないままなんだから)
そのままゆっくりと呼吸を繰り返し、集中力を高める。
(大丈夫…話すことは昨日イグニスと二人でしっかり考えた。
大丈夫。出来る)
そうしてしばらくすると ガチャリ、と重厚な音を響かせた玉座の間の扉から先客が退出し、その後少しの間を空けて、ぞろぞろと数名の警護の人達も出てくるのが見えた。
「グレイス王女、お待たせいたしました。
どうぞお入りください」
「ありがとう」
その先頭を歩く人に掛けられた声に対して、そう言葉を返し、
皆それぞれきちりとした敬礼を向けてくれることに対して、軽く手を上げて返事をする。
(こういう瞬間にも、自分がただの一人の人間ではないと否応なしに認識させられるんだよね…
ノクトお兄ちゃんが堅苦しいのを嫌がる気持ちもわかるな)
扉の前で、最後にもう一度深呼吸をする。
隣に立つイグニスの顔を見れば、『いつでも良いぞ』という引き締まった表情をしていた。
その瞳を見つめて頷けば、イグニスが玉座の間へと続くドアに手をかけ、扉を開き始める。
ここからが正念場だ。