【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第23章 夢
会話を終わらせ、通話が終了したことを知らせる電子音が聞こえてから「はぁーーー…」と肺の深いところから呼気が出て力が抜ける。
どうやら無意識に力が入って背筋もガチガチに伸ばしていたみたい。
お父さんへの報告には照れ臭い感情があるだけかと思ってたけど、この段階からこんなに緊張するなんて…参ったな…。
「はぁ…イグニス、聞こえてたと思うけど明日の17時から15分だけ、時間取れたよ…とりあえず、良かった…」
緊張の解放から、ソファの肘掛けにふにゃふにゃともたれ掛かる私の背中を、イグニスの大きな手が優しく撫でてくれる。
その温もりが心地良くて ふぅ、と一息ついた。
「あぁ承知している、ありがとう。
それにしてもグレイス、随分緊張していたようだが、大丈夫か?
すまない、オレが連絡するべきだったな」
「えぇ? いやいや、こんなに緊張したのは私も予想外だったけど、
交際の許可を得る為のアポ取りを、いくら面識があるからといって、女性側の父親に、男性から連絡するなんて聞いたことないよ。気にしないで」
それに、さすがのイグニスとはいえ、現国王陛下であるお父さんの時間を正式に確保するにはそれなりの手続きやら申請が必要だし。ここは王女特権というか、親子特権行使すべきとこでしょ。
「ただ、15分しかないからね…どんな流れで話すのか、今打ち合わせしよう」
「そうだな、ではまず…」
話す順番・内容、質問に対する答えなどを二人で想定しながらイメージを固めていく。
ある程度まとまった頃には、時刻は間もなく19時半となるところだった。
「わ~もうこんな時間? あぁお腹すいたー。
イグニス、もし良かったら一緒に晩ご飯どう?」
「そうしたいところなんだが…あいにく城に仕事を残してきてしまっていてな。今日はこれで失礼させてもらうよ」
「えっ!? そうだったの!? そうとは知らず、遅くまで引き留めてごめんね…」
「いや、残っていると言っても簡単な書類作成だけだ。
それに、今のオレにとって明日のレギス陛下へのご報告以上に重要で火急な仕事などないからな」
「…ありがとう」
「グレイス、それはオレの方こそだ。
まずは、明日…だな。二人で一緒に乗り越えよう」
「うん。絶対にね」