【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第23章 夢
片側の口角だけを釣り上げ不敵に笑うイグニス。
独占欲を滲ませた美しい雙眼に射抜かれ、心臓が早鐘のようにバクバクと脈を打つ。眼鏡越しではないその翠の瞳は、より一層強く意志を訴えてきた。
「これはレギス陛下にも直接お伝えするつもりだが…
グレイス、オレと結婚を前提に付き合ってほしい。
きっと、レギス陛下もわかって下さる。
仮に難色を示されても、オレが必ず説得する。
グレイスは何も心配はいらない」
「…ッ!?」
こ、この人は一体何を…と思いかけたところで、互いの覚悟と想い合う気持ちの強さを思い出し すとん、と心に落ちてくる感覚がした。
小さい頃からずっと、イグニスは私にとって心の支えだ。
イグニス以外の人とは考えられない。
ぎゅ、と抱きしめる腕に力をこめれば、イグニスもしっかりと抱き寄せるようにして応えてくれる。
「ありがとう…私も、ちゃんと自分の考え伝えられるように頑張るから。見守っててね」
「もちろんだ」
そうして再びお互いの熱を感じあうようにしばらく抱きしめあった後、意を決して自分のスマートフォンを手に取り、電話をかける先を思案する。
「18時過ぎかぁ…この時間ならもしかしたら執務室にいるかなぁ…。
…あ、お父さんに報告する時スキエンティア…、も一緒の方が良いよね?」
「そうだな。可能ならばそうしてもらえると助かる」
「了解…っていうか、もう超今更なんだけど、好きな人のご親族を呼び捨てなんて…私、何やってるんだろう…」
昔からの習慣で今更どうしようもないとわかりながらも、自分の失礼さにげんなりして申し訳なさからその場で一人背中を丸めてしまう。
「はは、伯父さんはそんなこと気にするような人じゃないさ。
グレイスが生まれた時からそういう関係性なわけだし、
オレの立場に置き換えて考えると、ノクトの子どもがオレを呼び捨てにするようなものだろう? 至極当然なこととして、何とも思わないよ」
「うぅっ…フォローありがとう…。
はぁ…お父さんに近しい人達くらい、「さん」付けで呼んでおけば良かった…。
あ、ちなみにイグニスのスケジュールは? 都合悪い時あれば教えて」
「いや、ご多忙のレギス陛下のお時間を頂戴するんだ、どんな手を使ってもそちらに必ず合わせる」
きちりと眼鏡を掛け直し、気迫すら感じる雰囲気でそう言い切った。