【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第23章 夢
直感的にそんなことを感じつつも、あまりにも早すぎる展開にフリーズしてしまって、瞼一つ満足に動かせない。
固唾を飲んでイグニスの様子を伺うことしか出来ないでいると、優しく微笑んだイグニスが私の頬に手を添える。
(やっぱり…!?)
反射的に目をぎゅっと瞑ると、二人で腰かけているソファーを介して、一歩分イグニスの体重が近付いたのがわかる。
視界を遮断して敏感になった五感の一つから、ふわりとイグニスの清潔感のある香りが鼻腔に届き、それの後…
ちゅ、と口付ける音がやけにハッキリと耳に響いた。
(あれ…、でも…?)
イグニスの唇が触れたのは、私の唇じゃなくて…左頬、だった。
恐る恐る目をそっと開けると、そこにはさっきと同じように優しく…そして幸せそうに微笑むイグニスがいた。
「突然で…びっくりさせてしまったか…?
恋人らしいことは、きちんとレギス陛下に許可をいただいてから、とは思っているんだが…
これまでとは違って、オレの腕の中で素直に甘えてくれるグレイスが可愛すぎてな…。
その…、唇にはしないから…、昔みたいに『だいすきのちゅー』をグレイスにすることを許してはくれないか?」
「あ…うん! それは もちろん!」
緊張しまくっている私を気遣ってくれる気持ちと、提案してくれる『だいすきのちゅー』って選択肢が懐かしくて嬉しくて可愛すぎて、こんなのどう足掻いたって「いいよ」って即答してしまう。
「嬉しいよ、グレイス…ちゅ、ちゅっ…
あぁ、本当に…大好きだ。…ちゅっ」
「ん…ふふ、ちょっと、しすぎだって、イグニス…くすぐったいよ…」
顔中にってくらい、あちこちにキスをしてくるイグニスの唇がくすぐったくて、身を捩ったり目を閉じたりしていると、閉じた瞼の上にまでキスを落としてくる。そんなマーキングするみたいにしなくても、もうどこにも行かないのに。
というか…
「イグニスばっかりずるーい、私も『だいすきのちゅー』するー!」
目の前にあるイグニスの黒縁の眼鏡をひょいと外し、思い切り顔を近づけて頬や目の周り、それに綺麗に整えられた前髪をすくい上げて形の良いおでこにもキスのお返しをしていく。
「イグニス…大好き。ちゅ…、ちゅ。
お兄ちゃんとしてじゃなくて…ちゅ、一人の男性として、ちゅっ、好きだよ…」