【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第22章 FINAL FANTASYワールド
上質な絨毯が敷かれたマンションの内廊下を二人並んで歩く。
絨毯によって足音は静かに吸収され、ハイグレードな建物に相応しい高い防音の造りと深夜の時間帯というのも相まってとても静かだ。
「グレイス、今日は一日楽しめたか?」
「うん、もちろん。 遊園地なんていつぶり? ってくらいだし、
こんな風にお友達とワイワイ行ける日が来るなんて思ってなかったからすっごく楽しかった~。
イグニスは? 楽しかった?」
「あぁ、もちろんだ」
「それなら良かった。 またみんなで行きたいね」
時間帯に配慮して声のトーンを抑えながらも、楽しそうな気持ちが伝わってくるグレイスの口調に口元が綻ぶ。
グレイスにこうやって素直に喜んで感想を口に出されると、また連れて行ってやりたい、また喜ぶことをしてやりたいという感情が湧いてくる。それに…
「そうだな。
皆で行くのも良いが…オレは次に行くならグレイスと二人きりで行きたいな」
「えっ…」
「何驚いたような声を出しているんだ。
意中の女性と二人で出掛けたいと思うのは当たり前のことだろう?」
「いや…うん…それはそう、なんだろうけどさ…。
最近のイグニスは遠慮がないって言うか、隙あらば口説いてくるから反応に困るっていうか…」
一瞬目を丸くしてこちらを見つめてきたグレイスだったが、その後のオレの問いに対して、上手く言葉が返せないようで、視線を床に落とし、もごもごと呟いている。
隙あらば…、確かにな。
去年ノクトに発破をかけられつつも、少し前まではグレイスにアプローチする前にまずは自分自身のスキルや立場向上に集中すべきと思って、こういう機会を取れていなかったのは事実だ。
「そうだな。好きだからな、グレイスのことが」
「だから、そういう…!」