【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第22章 FINAL FANTASYワールド
そんなオレのことをグレイスが恨めしそうに下から見上げてくるが、本気で怒っていないことなど繋いだままになってる手の温もりから明らかだった。
それどころかオレは『昔から美人は怒ると怖い、なんて言うが、グレイスは怒っても可愛いし美人なんだな』とかそんなことを一人考えていた、顔には出さないように。
「…よし、大分顔の赤みは落ち着いてきたぞ。
遅くなったが、グレイスの土産の荷物はオレが持とう。
さて、そろそろノクトを起こすとするか」
「…うん」
この時ばかりは寝坊助の主に感謝しながら、そっとグレイスの手を離す。
悔しいことだか、いくら遅い時間だからとはいえ、いつ他の車の出入りがあるかわからない場所でいつまでも王女であるグレイスの手を握っているのもよくないしな…。
「ほらノクト、駐車場に着いたぞ。起きてくれ」
「ん゛っ…んー………ふぁ~~~もう着いたのか」
「ノクトお兄ちゃん、おはよ。あと少し、頑張って。
…あ、お土産車の中に忘れてるよ、しっかり持って」
「マジか、わりぃ…グレイスさんきゅ」
オレ達二人にあれやこれやと世話を焼かれながらのそのそと歩き出したノクトだったが、動いてるうちに意識が覚醒してきたのか、エレベーターに着く頃には足取りもしっかりしてきた。
「ん~~~っ、やっと目覚めてきたわ。
…あ、そうだイグニス。
もうすげー遅い時間だし、お前ちゃんとグレイスのこと部屋まで送ってやって」
「了解した。
ノクトもちゃんと風呂に入ってから寝るんだぞ」
「はいはい」
ノクトなりに気を利かせてくれたのか、ノクトが生来持つ優しい性格から出た発言なのかはわからないが、最後グレイスと過ごすきっかけをくれたことに感謝して、グレイスと二人で一足先にエレベーターを降りる。
「じゃあノクトお兄ちゃん、おやすみなさい」
「さすがに何もないとは思うが、ノクトも気をつけて帰ってくれ。おやすみ」
「おー、おやすみ」