【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第22章 FINAL FANTASYワールド
そんな気持ちを忍ばせながらも安全運転に努め、途中でプロンプトを降ろし、ノクトとグレイスの住むマンションへと車は無事到着する。
「さぁ着いたぞ、…案の定ノクトは寝てしまったか。
グレイスも今日一日歩いて疲れただろう」
「ありがとう、イグニスこそ疲れてるのに運転お疲れ様」
助手席のドアを開け手を引いてやり、カチューシャが外されて触りやすくなった髪を一撫でする。
触れられるのはまだ照れがあるのか、恥ずかしそうに目線を逸らす様が可愛らしい。
後部座席でノクトが寝ているのを良いことに、車から降りるのをエスコートした時に握った手をそのまま持ち上げ ちゅ と軽く音を立てて手の甲にキスを落とす。
「…っ!? な…!」
その瞬間、ボン! と音が聞こえたのかと錯覚するくらいの勢いでグレイスが顔を真っ赤にし、口元が何かを言いたげにわななかせていた。
「しーっ…。今大きな声を出すと、ノクトが起きてその真っ赤な顔を見られてしまうぞ?」
「い、い、イグニスのせいでしょうが…!」
相変わらず不意打ちに弱い反応を楽しみながら、
空いている方の手で人差し指を立て数字の『1』の形を作り、
グレイスの唇の前に当て目線を合わせてそう言えば、一際恥ずかしそうに顔を背けて表情を隠してしまった。
そのまま地面に向かって独り言のように
「もう、たまに突然イジワルになるの、何なの…」とグレイスが呟く声が微かに耳に届き、『こういう可愛い反応が見たいからに決まっているだろう』頭に浮かんだ答えはさすがに口に出すのは控えることにした。
ここが屋外駐車場なら夜の暗闇が顔の赤みも隠してくれるだろうが、あいにくここは照明設備のきちんと整えられた屋内駐車場だし、エントランスに入ってから先もずっと居室にいるかのように明るいマンションだ。
ノクトもいる場で赤面したままの状態で歩かせるのは忍びないし、グレイスはオレに右手を握られて、左手は買い物袋で塞がっているため、
グレイスの代わりに空いている手で顔の熱を逃がすようにパタパタと仰いでやった。