【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第22章 FINAL FANTASYワールド
「イグニスの手…大きくなったね」
「そうだな。成長、したからな」
「それに、ただ大きくなっただけじゃなくて、強くて頼もしい男の人の手になってる」
「あぁ…訓練して、鍛えもしたからな。
ノクトだけじゃなく、グレイスのことも守れるようになる為に」
「…それって、」
その言葉に、暗に『あの時のことだ』と理解させられ心がざわめく。
イグニスへの恋心を自覚したとほぼ同時に『オレはもしもの時はノクトを優先しなくてはいけない。だからオレはグレイスにふさわしくない』と、二人の未来を夢見る希望を閉ざされた時のこと。
「過去の発言をなかったことに出来ないのは百も承知だが…あの時は本当に申し訳なかった。
あんなことを言っておきながら、結局オレはグレイスへの気持ちを諦めきれず、抑えきれず、こんな風に恋人同士のような真似をして結果的にグレイスをより悩ませてしまっているのは自覚している。
だがそれも全て、『愛する女性を自分の手で幸せにしたい』という思いからなんだ。
あの頃とは違って、戦ってグレイスを守る力も、
次期宰相候補と期待を込めて呼ばれるくらいには、この先グレイスがルシスをより良くする為にやりたいと願うことを実現させられる立場も身につけてきた。
だからどうか…もう一度、オレと一緒に将来を歩む道を選べないか、考えてみてほしい。
返事は今すぐでなくて良い。
ゆっくりで良いから、改めて考えてみてくれ」
イグニスからの真剣な告白に、感極まって堪えきれず涙がはらはらと零れ落ちる。
「ん…あ、りがとぅ……ずっ、ぐすっ…」
変わらず好きでいてくれるだけでも嬉しいのに、ただその気持ちを持ち続けるだけじゃなく、それを成就させるためにおよそ常人では成し得ないレベルの文武両道をこなし、血の滲むような努力を続けてきてくれたこと思うと胸が苦しい程いっぱいになる。
そんな私をイグニスは困ったように少し眉尻を下げながらも、口元は柔らかく微笑みながら指先で涙を拭ってくれた。
「こんなところで泣かせてすまないな…
先に店内に入ってもらうようプロンプトに連絡しようか?」
「…っ、ずずっ。私こそ、ごめんね…でも大丈夫。イグニスの言葉が嬉しかったから、だから。
せっかくみんなで来てるのに、あんまり気を遣わせちゃうのも悪いし。…行こっか」