【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第22章 FINAL FANTASYワールド
お互いに二人寄りかかり合うようにしながら、夜空に咲く大輪を眺める。
暗闇を明るく照らす力強いその光を夢中になって見つめていると、上を見上げている姿勢のせいもあり、うっかりイグニスに最初よりかなり体重をかけてしまっていることに気付く。
姿勢を直そうとイグニスに預けている背中を浮かせようとしたその瞬間、
『どこへも行かせない』と言わんばかりにグッと抱き寄せられ、腕の中へときつく閉じ込められてしまった。
「姿勢を直すだけだよ」と言う為にチラ、と目線を後ろへ向けイグニスと至近距離で目が合ったその直後。
真剣な表情で
「オレの傍にいてくれ」
そう、一言。耳元で囁かれた。
背筋が ゾクリ とする程の甘さと切なさを含んだ声だった。
胸の辺りがキュッと掴まれたように痛くて、なぜだか涙が一気にこみ上げてくる感覚にハッと息を飲み、零れ落ちないよう必死に細かく瞬きをする。
『うん』とも『いいえ』とも返せない自分の不甲斐無さを申し訳なく思いながらも、それでも『好きでこの曖昧な関係を続けているんじゃない』という気持ちを伝えたくて、イグニスの両手を包み、今度は自分から指を絡めぎゅっと握りしめた。
握り返してくるイグニスの指先の力を感じ取りながらも、もう一度彼の顔を伺い見る勇気はなくて…私はひたすらに夜空の花を見上げていた。