【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第22章 FINAL FANTASYワールド
スタッフさんに花火のよく見える場所を聞いて、イグニスに手を引かれながらライトアップされた夜の園内を二人並んで歩く。
本当のことを言えば、パレード前や最中は光の演出を楽しませる為に照明が絞られて暗くはなっていたけれど、今はもうあちこちにある照明がしっかりと灯されているから足元が暗くて危ないなんてことはない。
でもそれはイグニスが気を遣って理由を添えてくれているんだってもちろんわかってるから、私も何も言わない。
朝、部屋まで迎えに来てもらって、助手席に座って、お揃いの耳を付けて、二人で手を重ねながらパレードを見て…そして今握手のような形とはいえ、手を繋いで歩いて…今日一日、本当にデートしてるみたい…すごく、幸せ。
でも、いつまでもこんな友達以上恋人未満の距離感や関係でいるのがダメなことはわかっている。
それに、こんな幸せを感じてしまっていたら、大局的に見てやっぱりイグニスの手を離す必要があると決断をした時に辛くなり過ぎる…
ちゃんと、自分がどうしたいのか改めて考えないと…。
「さて…さっきスタッフに教えてもらった場所はこの辺りか。
花火だし、座っていてもよく見えるだろう」
そう言って空いている場所へと誘導し、再びさりげなくハンカチを敷いてそこに私を座らせてから、さっきと同じように後ろからぎゅっと温もりを与えてくれる。
(あぁ…温かくて安心する…。
ずっと、こうしていたいなぁ…)
他では感じたことのない、心が満たされていく特別な感覚を確かめるよう、そっとイグニスに背中を預けると、より一層腕に力を込めて、私の身体を受け止めてくれた。