【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第22章 FINAL FANTASYワールド
やがてパレードカーが通り過ぎ、辺りが暗闇に戻ると周りの来園者達が『今のうちにアトラクション一つ乗っちゃおう』、『花火が良く見える場所に移動しよう』と口にしながらバラバラ立ち上がり始めた。
周囲のその様子を見て、グレイスが手がそっとオレの指の間から抜け出していく。
…寂しい。正直、そう思った。
理由や、雰囲気の力を借りなくとも、互いの気持ちに正直に、もっとずっと自然に触れ合っていたい。
幼い頃から人を優しく気遣い、勤勉で努力家で、己の立場を慮り王女らしくあろうとする性格を尊敬し好ましく思う一方で、
もっと自分の感情や欲求に素直になってくれたら良いのに、という相反する感情が胸に渦巻く。
元よりグレイスはガラスの靴のお姫様より魔法使いになりたいというような、自分より周りの幸せを望むような性格ではあるし、
それに拍車をかけるようにテネブラエでの襲撃や、過去にオレが自信の無さからグレイスの気持ちを拒絶するような言動をとったことが原因になっているのはわかっているから仕方がないとは思うが…
だがしかし、もう大人しく諦めるつもりはない。
自分達の近くの人影がまばらになった頃、先に立ち上がり
「立てるか?」とグレイスに手を差し伸べる。
「ありがとう」と言ってグレイスがオレの手を借り立ち上がったところで、地面に引いてあったハンカチを拾って簡単に払ってからポケットにしまう。