【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第22章 FINAL FANTASYワールド
しばらくすると、遠目にもはっきりとわかる程の光量を放つパレードカーが見えてきた。
「わ! イグニスあれ、見て見て!」
「あぁ…すごくキラキラ輝いているな」
色とりどりの電球を灯したパレードカーが音楽と共に近付いてくる。
昼のパレードと同じようにダンサーも大勢いるが、夜の場合は手拍子を促したりはせず、衣装につけられた光をあちらこちらへ瞬かせながら幻想的な雰囲気を作る役割を果たしていた。
昼の賑やかでエネルギッシュな雰囲気とは全く違い、
光の海に漂わせてくれるような、華やかではあるのに、どこか静かにこの雰囲気に酔わせてくれる夢想的な空気感の演出を感じる。
「綺麗だね…」
「そうだな…こんな風にグレイスと二人で見れるなんて、最高だ」
グレイスも同じように思ってくれているのか、うっとりしたような声で感想を口にし、自分の身体の前にあるオレの手に、自身の手を重ねてきた。
それに応えるように、するりとグレイスの指をオレの指の間に捉えると、一瞬ぴくりと強張った様子を感じさせたが、すぐにその力は抜け、控えめではあるが指先を絡ませるようにきゅっと掴み返してくれた。
グレイスのその細い指から伝わってくる熱や、口には出来ないグレイスなりの愛情表現を感じながら、儚いひと時の夢のような時間を二人で享受し、言葉はなくともしっかりと互いの気持ちを確認しあった。