【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第22章 FINAL FANTASYワールド
「…ッ! ご、ごめん!」
後ろからでは見えないが、恐らく顔を真っ赤にしたグレイスが勢いよく前を向く。
「い、いや、気にするな。今のはオレも近かった」
珍しくオレも顔が熱い…今のは本当に何か一つ違えば唇同士が触れていてもおかしくなかった。
冷静に状況を振り返れば振り返れる程、グレイスの背中にくっつけているオレの心臓がバクバクと脈打つ。
あまりの騒々しさに、グレイスに気付かれていないか心配になるくらいに。
グレイスを覆うように寄せていた上体を少しばかり起こし、自分を落ち着かせる為に薄く長く息を吐く。
(危なかった…アクシデントとはいえ、グレイスの意にそぐわない展開にならなくて本当に良かった。
それに、オレ自身もこんな形でグレイスの唇を奪うような真似はしたくない)
結果的には何も起きてはいないのだが、お互い何となく気まずくなって沈黙の時間が流れているところに、まもなく夜のパレードが始まるというアナウンスが聞こえてきて気を紛らわせてくれた。
「いよいよみたいだな」
「うん、お昼のパレードもすっごく可愛くて楽しかったから、夜も期待しちゃうね!」
前を向いたままではあるが、グレイスから明るい声が返ってきて胸を撫で下ろし、
さすがに今度は近付き過ぎないように気を払いながら、パレードの到着を待つ。