【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第22章 FINAL FANTASYワールド
「うぅ…わかったよぅ…」
グレイスが前方へ動いて作ってくれたスペースに腰を下ろし、
後ろからぎゅっと抱きしめ、脚も両側からがっちりと挟みグレイスの全身をすっぽりと覆ってやる。
この時程、自分が背の高い男で良かったと思ったことはない。
「どうだ? 少しは温かく過ごせそうか?」
「…うん。
イグニスの体温、あったかい…ありがとう…」
呟くような声でそう言った後、前へ回したオレの上腕にグレイスが甘えるようにスリ、と頬を纏わせてくる。
その感触に、また一歩、心の距離が近くなれたような気がして思わず口元が緩む。
想いを告げてから、ケジメだと言って理由なく触れるとこを控えているオレ達だが、
何かしらこじつけでも良い、こうして再び触れ合って距離を詰めることで、オレへの意識や、恋人のような距離感で過ごす幸せを感じて、
オレのことで頭がいっぱいになれば良い。
そうして、オレの手を取って、共に未来を歩む将来を強くイメージして、その選択肢を手放したくないと思うようになれば良い。
募る想いのあまり、従者の立場でこんな願いを抱くオレをどうか許してくれ、と背中越しに祈った。
「それなら良かった…。
オレもグレイスの体温が心地良いし…幸せだ」
鼻先をグレイスの髪や耳の後ろに埋め、体温とさらさらとした髪の感触と、落ち着くようなグレイスの匂いを鼻腔に含みながらそう伝える。
その行為に嫌がる素振りは見えず、グレイスはコテンと首を傾けてオレの腕に頭を預けた。
「ここで寝るなよ? 本当に風邪をひくぞ」
「ふふっ、まさか。ノクトお兄ちゃんじゃあるまいし、寝ないよ。
…それに…こんなに幸せな今、寝るなんてもったいない」
冗談で言った言葉に、予想外の愛情を返されて内心狼狽える。
グレイスからオレの顔が見えない位置で良かった。
「ははっ…いつもいつも可愛らしいことを言ってくれて…
グレイスこそズルい、だな」
「あ、それ私のマネ? 言われ過ぎて覚えちゃった?」
くすくすと笑いながらくるりと後ろを振り返るグレイスと、オレが密着していたせいもあって、吐息がかかるくらいの距離でバチリと目が合った。
それは本当に、あと僅かに動いたら唇にキスが出来るくらいに。