【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第22章 FINAL FANTASYワールド
「ふっ…昔からオレにモテるだろうと言うが、前にも言ったように異性に対してこんな風に気を利かせるのも、優しくしてやろうと思うのもグレイス、お前にだけだ。
それに、グレイス以外の女性にモテても意味がないしな」
「また…イグニスはそういうこと言う…。
…っくしゅん!」
照れた様子で、体操座りをしている膝のところへ顔を埋めるグレイス。辺りはもうすでに真っ暗で確かめることは出来ないが、きっとまたいつものように顔を赤くしているのだろう。
何度気持ちを伝えても毎回初心な反応を返してくれる様子は、いつ見ても男心をくすぐられるものだ。
…と、そんなのんきなことを考えていたら、突然聞こえてきたくしゃみの音に、一気に意識を引き戻される。
「大丈夫かグレイス、寒いのか?」
「う~ん、ちょっとだけね…
日が落ちてから急に気温下がったよね、あとじっと座って待ってるから余計寒く感じるのかも」
グレイスの言う通り、夜になってグッと肌寒くなった感覚がある。
オレですらそう感じるのだから、華奢で半袖とショートパンツという薄着のグレイスにとっては尚更だろう。
何か上着になるようなものを持ってきておけば良かったのだろうが、五月下旬というのもあって油断していたな…どうにか良い方法を…。
「…グレイス、グレイスがイヤでなければ、オレの前に座らないか? そうすれば後ろから抱きしめて温めてやれる」
「…えぇ!? い、いや、それはさすがにちょっと…!
イヤ…ではないけど周りに人も沢山いるから、私達の関係性以上に、立場的にマズいっていうか恥ずかしいっていうか…」
「ふむ、イヤではないんだな。なら何も問題ない」
スッと立ち上がり、グレイスの後ろへ入ろうと試みる。
グレイスからオレの方へ来るのはハードルが高そうだからな。
「え、ねぇ私の話聞いてる!?」
「聞いている。聞いた上で、それは問題にならないと判断して行動している。
周りを見てみろ、もう真っ暗でほとんど人の顔なんてわからない。
それに、パレードが始まれば皆そちらに注目して余計に他の人のことなんて見やしない。
だから問題ない。むしろこのままにしてグレイスが風邪を引くことの方が大問題だ。
さ、わかったら、少しだけ前に詰めてくれないか」