【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第22章 FINAL FANTASYワールド
グレイスの顔には急に二人きりになってしまった動揺と…、オレの勘違いでなければ、この状況を歓迎している感情がほんのりと滲んでいるように見えた。
足早に去っていくプロンプト達を見送りながらそんなグレイスの腕から手を離し、そっと背中を押してやる。
「さぁ、オレ達も移動しよう。せっかくなら良く見える場所でパレードを楽しみたいだろう?」
「うん…そうだね」
皆と居た時とは違う、少しの緊張と戸惑いを含んだ声。
オレと二人になったことを意識してくれていることが伝わってきて、オレの胸にも期待が膨らむ。
二人並んで観覧場所を探していると、一部人の少ない箇所があるのが見つかった。
近付くと、スタッフから『ここでは座ってご鑑賞下さい』と告げられる。
「グレイス、少し待ってくれ。」
案内に従って隣で腰を下ろそうとしているグレイスに声を掛け、地面にポケットから取り出したハンカチを敷いてやる。
「そのまま座っては服が汚れるし、地面も固くて冷えるだろう。
この上に座ったら良い」
「えっ! いいよいいよ、そんなの気にしないで! イグニスのハンカチこそ汚れるし痛んじゃうよ」
咄嗟に胸の前で手を大きく横に振るグレイスに奥ゆかしさを感じながらも手を引いてそこへと誘導する。
「いや、オレがこうしたいだけだ。グレイスはそんなこと気にして遠慮するな」
「あ…もぅ…ありがとう…。
じゃあイグニスが私のハンカチ使って?」
「ありがとう。だがオレはジーンズだから汚れも気にならないから平気だ。
その気持ちだけ有り難く受け取るよ」
バッグの中からハンカチを取り出そうとするグレイスの手を止めて、そのまま地面に腰を下ろす。
そんなオレを困ったような申し訳なさそうな顔をして見つめてくるグレイスの頭を撫でてやる。
「ありがとう…イグニスは本当にいつも気遣いが出来て優しいよね…。絶対私以外の女性にもモテてるでしょ…?」