【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第22章 FINAL FANTASYワールド
「そりゃガキの頃にたまにはな? まぁもっとちっせー遊園地だったし、親父は一緒じゃないことがほとんどだったけど、乳母とかと一緒に来てたわ」
…そうだ、ノクト達と一緒に遊園地に来た記憶はかなり昔で止まっている。
シガイとテネブラエで襲われて以降、ノクトもグレイスも本当に子どもとして当たり前の願いすら我慢して言わなくなっていたんだと改めて痛感する。
「昔話といえば…
あれはノクトが幼稚園の年長の頃だったか、遊園地にお忍びでレギス陛下もご一緒された時があってな。
その時のノクトは、黒色の馬にレギス陛下と二人一緒に乗るんだとすごく楽しみにしていたんだが、生憎他の親子連れが先に乗ってしまったんだ。
そうしたら『わぁ~~~ん! お父さんと一緒に、お父さんの車と同じ色の、黒の馬に乗りたかった~~~!!』と大泣きしてしまってな」
覚えているか? とチラリグレイスに目配せすれば、うんうんと頷いていて、古い記憶が呼び起こされた様子が見て取れる。
「それ、私も覚えてる。
お父さんは『もう一度並んで、次は黒い馬に乗れるようにしよう』とか色々言ったんだけど、
ノクトお兄ちゃん全然泣き止まなくて、あんまり泣くから周りの注目集めちゃって『あれ…レギス陛下じゃない!?』ってバレちゃって、その後大騒ぎだったんだよね」
「え~っ、何そのエピソード! ノクトかっわいい~!!」
「何やってんだよお前はよ…」
「ぷぷぷぷぷ…ノクちゃん、可愛いでちゅね~。
今日は黒いお馬乗らなくていいんでちゅか?
何なら、プロンプトお兄ちゃんが一緒に並んであげましょうか~?」
「だーっ!! うっせーお前ら!! イグニスもそんな昔の話持ち出してんじゃねぇ!!」
「ははは、すまない。昔話の流れでつい、な。
だが、これが昔の話で本当に良かったなノクト」
「? 何でだよ?」
「考えてもみろ、今みたいに誰でも手軽にスマートフォンで動画を撮れるような時代だったら、お前とレギス陛下のやりとりはネットにあげられて拡散されていてもおかしくないぞ。
だが、このことに関してはオレ含め、限られた人間の記憶の中にしか存在しない。だから良かったな、安心しろ」
「全然良くねーし、安心でもねーわ!!」