【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第22章 FINAL FANTASYワールド
何かの試練だったのか…と思わせるような数分間が終わり、ようやく景色の流れがゆっくりとしてきた。
(やっと…終わった…)
身体が強烈に横に引っ張られる感覚がなくなったことで気が抜けて、イグニスに巻き付くようにしがみついていた腕から、へなへなと力が抜ける…
「グレイス、大丈夫か…?
!? 顔色が真っ青じゃないか! 近くのベンチで休もう、辛いとは思うが立てるか?」
「………ぅん…」
正直、カップから腰を上げた瞬間、その場にうずくまりたい気分だったけど…それはそれでスタッフの方にご迷惑だし、イグニスに抱きかかえられるのもここではさすがに…だから気合いで歩くしかない…!
ガッツリとイグニスに体重を預け、肩を借りてなんとか歩を進める。
周りから『超回ってたあのカップの人達、マジヤバそう』とくすくす笑う声も聞こえてくる。
人達、ということはきっとノクトお兄ちゃんやプロンプトもヤバそうな感じなんだろう。
気持ちは悪いわ、笑われるわ…
グラディオォ…ただでは済まさないからね…!
ふらふらの身体を何とか引きずってベンチに腰掛け、イグニスに寄りかかるようにして休ませてもらうと、間もなくしてそっと背中にイグニスの腕が回ってきた。
「グレイス、オレの腕を背もたれ代わりにしていいから、
もっと身体の力を抜いて休んでくれ」
「ぁ…りがと…」
近くにあったベンチはどれも背もたれがないタイプだったので、この気遣いはありがたい…さすが、イグニス…。
「ノクト、プロンプト大丈夫…?」というイリスの声がする方をチラリ見ると、
ノクトお兄ちゃんとプロンプトが互いの肩を寄せ合わせて支えにしながらぐったりと頭を垂れさせている様子が見えた。
「おー…気にすんな…休めば、治る…
イリスが楽しめたんなら、良かったわ…」
ノクトお兄ちゃん、へろへろになりながらも申し訳なさそうにしてるイリスにフォロー入れるとか、ほんと無自覚の罪作り…。
「ったく、この程度でだらしねーなぁ。
鍛え方が足りねーんじゃねぇか?」
鍛え方って…三半規管の?
戦闘でこんなぐるぐる回されることなんてある…?
「おい…この状況で言うに事欠いてそれかよ…
マジ覚えとけよグラディオ…」
「ノクトの言う通りだよ! 兄さん、ひどい!!」
「ほんと…それにオレはルシス一般市民なんだからね~」