【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第22章 FINAL FANTASYワールド
駐車場についても
「ノクトノクト~! 車、オレと一緒に後ろ座ろ!」
とグレイスが遠慮したり、座る位置を意識し始める前に先んじてこんな風に言ってくれる。本当に良く気がつくタイプだ。
もちろんオレもその善意をムダにしないように
「ではグレイスはオレの隣だな。
ほら、頭をぶつけないように気を付けるんだぞ」
と助手席のドアを開けたり、万が一頭をぶつけても痛くないようにドア枠の上部を手で押さえてエスコートしてやる。
この手のエスコートはグレイスの立場上慣れたものなのだろうが、それでもオレにしてもらうことに特別な意味を感じてくれているのか「あ…、ありがと…」と戸惑いがちに上目遣いでお礼を言ってくれるところに愛おしさを感じ、男心をくすぐられる。
グレイスの脚がきちんと前を向き、着席が完了したのを確認してゆっくりとドアを閉める。
それから運転席へ座り、後部座席の様子を確認すると、今日のスケジュールをスマホで確認している二人が見えて、ちゃんとノクトもプロンプトもFFワールドを楽しみにしてくれている様子が改めて伝わってきてホッとする。
「イグニス、今日は朝早くから運転ありがとう。エボニーコーヒー持って来たんだけど、飲む?」
エンジンをかけたところで助手席から声を掛けられ隣を見ると、手に缶コーヒーを持ったグレイスと目が合う。
「気にするな、オレも楽しみにしていたしな。
グレイスこそ気遣いありがとう、いただくよ」
グレイスからエボニーを受け取り、出発前に一度口をつける。
苦味が効いた味で頭がスッキリとする感覚がやはりオレ好みだ。
続きはまた道中で飲もうと、一旦手元のドリンクホルダーに置くために目線を下げ、オレは一瞬息を呑んだ。
エンジンがかかり車内灯が消えてやや薄暗くなった空間が、隣に座るグレイスの真っ白で艶やかな素肌を一層引き立てていた、目が釘付けになる程に。