【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第21章 新生活
「え…。う、うん…あーん…
…ん、ふわふわで甘くて美味しい!」
照れて伏し目がちに口を開けるグレイスを見ながら、昔の面影を重ねる。
幼い頃のグレイスは、特に目元がノクトとよく似ていて、大きくぱっちりとした瞳がとても可愛らしく印象的だった。
今もその目元の魅力は変わっていないが、成長に伴って今は女性らしさも加わって本当に…
「本当に…綺麗になったな、グレイス」
「…はっ!? な、何全然違うこと考えてるのイグニス!?」
「すまない、昔のこの時を思い返していたらつい、な。
もちろん、昔のグレイスの可愛らしさにもオレは心を奪われていたぞ。
それに、味の感想もちゃんと聞いている。
ふわふわで甘くて美味しいか。大成功じゃないか」
「うん…そう、よく聞いてるね…。
ちょっともう、今日イグニスからの愛情表現が供給過多で反応に困ってるんだけど…」
恐らくまた頬を赤らめているのであろうグレイスは、両手で顔を隠して俯いている。
「あの頃にも、こうやって自分の気持ちを素直に伝えていたら、今の二人の関係は違ったのかもしれないと思ってな。
グレイス、グレイスもあの時みたいにオレに『あーん』はしてくれないのか?」
「さっきから待っているんだが」と顔を近づけて、少し意地悪そうな声色で聞けば、そろりと顔を覆っている手を下げ、こちらを見上げてくるグレイス目が合う。
濃紺の眼をうるうるとさせ、輝くような星空の瞳。
その美しさに引き込まれて、突発的に抱きしめ、目元に口づけしたくなる衝動をグッと堪える。
(それは…ダメだ。何の理由もなく触れていい程、グレイスの心はまだ解れていない。
もどかしく、切なくもあるが、ここは耐えなければ…)