【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第21章 新生活
「ねぇイグニス…、この後パンが出来上がったら、試食も兼ねて一緒に夕食どう…?」
「それは嬉しいお誘いだ。ぜひそうさせてもらおう。
では張り切って料理を進めないとだな」
グレイスからの提案により一層気が良くなり、そこからまた一緒に手際よく料理を進めていく。
パン生地を発酵させたり、焼いている間に他の料理も作っていると、いい頃合いに香ばしい香りが広がってきた。
「いい匂いしてきたね、こっちも仕上げちゃおうっと」
隣からジュウ、と食欲をそそる音がする。
「チキンカツか。柔らかくて旨そうだな」
「うん、これだけで食べても良いし、パンに挟んで食べても美味しそうだなって。
ソースは市販のも良いけど…当日はノクトお兄ちゃんの為にトマトソースとか作ってみようかな~?」
「さっぱりした味になりそうで良いな。それに、ノクトに野菜も食べさせられて一石二鳥だ」
「ふふ、そういうこと~」
そんな会話をしていると、オーブンから焼き上がりを知らせる音が聞こえてきた。
「おっ、上手く焼けたかな~?」
「仕上がりが気になるな。早速見てみよう」
キッチンミトンを借りてオーブンからトレイとパン型を取り出し、トントンと落として型からパンを取り出す。
スルリと抜け出てきて良い感じだ。
「すっごく良い感じの焼き色だね! 早く食べてみた~い!」
「あぁ、今切り分けてやるから少し待ってくれ」
食パンの外側の茶色い部分を薄く切り落とし、次に食パン一枚分の厚みをカットし、中の焼き加減を確認する。
「中心までしっかり火も通っているみたいだな。
…よし、グレイス食べてみろ」
カットした食パンを一口分千切り、グレイスの口元へと持っていく。
「あ、ありがとう…」
恥ずかしがっているのか、それを手で受け取ろうとするグレイスに、そうじゃないと訴える。
「違うだろう? そのまま口を開けてくれ。
昔もこうしたじゃないか。
…どうか、今だけは昔と同じように可愛がらせてほしいんだ。
ほら…あーん」
「え…。う、うん…あーん…
…ん、ふわふわで甘くて美味しい!」