【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第21章 新生活
昔、城でグレイスと初めて料理をした時のことはよく覚えている。
オレが花冠を渡して、それと同時にグレイスへの想いを抱くことも、グレイスからの気持ちも期待しないと決めてすぐだった。
あの時もこうして後ろから手伝ってやったものだが、その時のグレイスは、耳まで真っ赤にして照れていた。
特別にしたい、という気持ちを込めて呼んでいたという『イギー』という愛称で呼んで良いかと聞いてきたのもこの日のことだったし、あの頃からオレに想いを寄せてくれていたのだろう。
その気持ちに気付きながらも、全くその気のない態度であくまで妹分としてでしか接さずに…どれだけグレイスを傷付け、落胆させてしまったことか。
「グレイスの手は小さくて柔らかいな…。
出来ることならオレが…一生守ってやりたい」
「ぁ…ありがと…」
だが、もうそんな思いはさせない。
去年のノクトの誕生日の時のように、チャンスがあればオレはオレなりにグレイスに気持ちを伝え、アプローチをして、掛け違えたボタンを、拗れてしまった心を解きほぐしていく。
「ふふ…また耳まで赤くなっているぞ。
いつもいつも…、反応が可愛いな、グレイスは」
「だ、だって…イグニスが耳元でそんなこと言うから…!」
グレイスがオレの腕の中で照れからか肩をきゅ、とすくめて少し身体を強張らせている。
昔から変わらない、この素直な反応も愛おしい。
だからもっともっと伝えて可愛がりたくなる。
「本当に思っていることを言ったまでだ。
それに…昔、料理の時は髪をまとめた方が良いと言ったが、それ以降毎回結ぶようにしてくれているな。
そういう素直なところも大好きだ…昔からずっと」
「…!」